2017年3月4日土曜日

12月23日の講演会資料で公開された日本共産党中央委員会の見解

2016年12月23日に「言論と公益を脅かすニセ科学問題」という講演会が開催されました。講演内容自体には大いに反論したいところではありますが、この記事では触れません。

この講演会で使われた松崎いたる区議の資料が ここ に公開されており、その中に非常に興味深い日本共産党中央委員会の見解が記されていました。


資料から概要部分を以下に引用します。赤字は強調のために引用者が施しました。


■日本共産党の態度
・2015年7月5日 日本共産党板橋地区委員会 地区党会議での委員長報告。この報告は代議員の全会一致で採択。

◆地区委員長報告【板橋区ホタル生態環境館の問題にかんする部分】
「区政問題に関連してホタル生態館の疑惑追及の問題について、ひとこと報告をしたいと思います。
このホタル生態館は25年間、10億円の区民の税金をつかって取り組まれた事業であります。
ここでの疑惑追及は区民の税金のつかわれた事業として重要な意義をもつものでありました。ひきつづきふさわしい取り組みが必要であります。
そしてこの問題を追及してきた松崎区議のネットなどでの発言を捉えて元職員が名誉毀損で訴えを起こすということになりました。
この訴えは、松崎区議の口封じのための訴えという側面をもっているというふうに認識をしております。現在、その対応について関係者と検討しているところであります」。

しかし
・2016.5.2中央委員会の見解
「一つはホタル館問題について。われわれが考える最大の問題は、団としての政治方針が一致確認されてこなかったことにあると。住民から選ばれた代表である党議員や党区議団の区民に対する責任は、ホタル館の不正追及、真相究明とともに、歴代区長をはじめとする区の責任を追及して、区民の納得の得られる対応をとらせることだと考えている
その場合、議員団の過去の方針の全面否定をとる立場や、高島平住民の要望、感情を否定する立場ではなくて、ホタル館に期待を寄せている区民などの願いを裏切った区の責任を正していく政治方針が必要だったのではないか、と。
それが区議団で見解が統一されず、担当職員の個人責任を追及することが中心になった。そういうことは不正を正す面で一定成果があったと思うけれど、結果として区の責任が後景に追いやられて、区がホタル館を廃止するということにとどまったのではないかと考える。
なお、政治方針が確立していなかった点については、地区委員会と都委員会の指導責任があるということを両者に伝えました。

二つ目、裁判の問題について。あなたがSNSで発信した発信内容は、法的に大丈夫か、どうかという問題ではない。SNSの発信問題で党機関が問題にしたのは、党規約が定めた市民道徳と社会的道義を守る先頭にたつ党の地方議員としてのあり方の問題である
裁判は「SNSの発信を改めるべき」とか、「このままでは提訴されるのではないか」という党機関、区議団、法律事務所からの指導や指摘があった。それに対し、あなたは「問題ない」と、これらを受け入れず、ますますエスカレートさせるなかで提訴されたという性格だ

こうした点から、党機関や弁護士が、党が関わる裁判ではないという意見は適切だと考える
またこの裁判は、発信してしまった内容をあらためず、それを既定の事実として訴訟方針を組み立てて争っている裁判であるので、本人自身が「党に指導されて言動を改めたとなると、裁判に不利になる」と、あなたが述べているように党がかかわることができない裁判である


上記の資料を見ると、板橋区地区委員会の報告は従来からの松崎いたる区議の主張をなぞるものですが、中央委員会の見解は全く異なることが分かります。また、松崎いたる区議が名誉毀損で訴えられた事に対する中央委員会の見解も興味深いものです。重要だと思う点を以下に挙げます。

  • 板橋区議団の責任は、「歴代区長をはじめとする区の責任を追及して、区民の納得の得られる対応をとらせること」だと言い、板橋区の責任追及を重要だと示している。
  • 元館長の個人責任を追及することが中心になったために、「結果として区の責任が後景に追いやられ」た点を否定的に見ている。
  • 日本共産党の地方議員としては、単に名誉毀損で法に反しなければ良いというものではなく、「市民道徳と社会的道義を守る先頭に立つ」という高い倫理観を求められている。
  • 党期間、区議団、法律事務所から「SNSの発信を改めるべき」とか「このままでは提訴されるのではないか」という指導や指摘があったにも関わらず、松崎いたる区議はますます態度をエスカレートさせた。そのため共産党としては「党が関わる裁判ではない」と考えている。
  • 松崎いたる区議は「党に指導されて言動を改めたとなると、裁判に不利になる」と考えている。

このような重要な見解が2016年5月2日に中央委員会から示されているにも関わらず、その後も板橋区議団は処分が済んでいる元館長の責任ばかりを追及していたように見えます。民主集中制を標榜する日本共産党にあって、中央委員会の見解に真っ向から逆らった板橋区議団はかなり特異な集団のように思えます。松崎いたる区議が除籍になった後の今回の議会でどのような見解が披露されるのか注目したいと思います。

以上

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