2015年6月21日日曜日

累代飼育の有無に関して板橋区と松崎いたる区議が真逆の主張をしている事が明らかに

前館長である阿部宣男博士が松崎いたる区議を名誉毀損で訴えた裁判の口頭弁論が2015年6月11日に開かれました。ここで出された被告側(松崎いたる区議側)の準備書面が ここ に公開されました。

この準備書面の中に以下のような主張があります(赤字は引用者による)。なお、以下で言う「被告」は、松崎いたる区議のことです。
(2) 被告の論評の合理性 
ア 被告は,2014(平成26)年1月27日に行われた板橋区資源環境部環境課による調査の結果,ホタル館において発見されたホタルの幼虫は2匹だけであり,未発見のホタルを推計しても23匹にしかにとどまった(乙第2号証)ことから,それまで毎年2万匹を継続して累代飼育を続けているという報告自体が事実に反するものであったことを踏まえて,累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にないことから,累代飼育が科学的検証に耐えられないものと評価するに至ったものである。 
そこで,被告は,「ホタル飼育はウソだった」と評価し(本件記事1),「2万匹を成虫にするような飼育実態はなかったことを示唆しています」(本件記事4),さらに「25年間の累代飼育が本当にあったのか」という議会質問をしたところである(議会発言)。
板橋区によって実施されたホタル生息数調査については、調査の設計や実施に大きな問題点がある他、結果として間違っていたことも、このブログで指摘してきました。したがって、私は、この調査結果を無批判に採用する上記の主張は無理があると思います。

それはさておき、上記には、さらに重要な主張があります。「累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にない」「累代飼育が科学的検証に耐えられない」という主張です。

この口頭弁論の翌週の6月19日に、むし企画が板橋区を訴えた裁判の口頭弁論が開かれました。ここで、既に記事に書いたように、むし企画側の求釈明申立に対して、板橋区は「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と表明しました。

求釈明申立書では、「なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する」とまで主張していました。したがって、板橋区はこの回答によって、ホタルの累代飼育の事実を認めたことになります(擬制自白)。

上記から以下のように考えられます。
  • 松崎いたる区議の「累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にない」という主張は間違っています。板橋区自身が累代飼育の事実を認めているからです。
  • 松崎いたる区議の「累代飼育が科学的検証に耐えられない」という主張は、板橋区の累代飼育を認める見解を真っ向から否定しています。

板橋区は、ホタルの累代飼育を他所にない特長としてアピールしてきました。そして、ホタル夜間公開は毎年1万人を越える入場者を集め、高い評価が得られていることも区議会で認められてきました。したがって、板橋区が累代飼育を認めるのは当然とも言えるのですが、これを真っ向から否定する松崎いたる区議は、今後、区議会でどのように板橋区と対決して行くのか注視したいと思います。


以上

1 件のコメント:

  1. 口頭弁論の開催日が間違っていたので修正しました。6月11日と6月19日が正しいようです。ご指摘いただきありがとうございました。

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